★★うつ抜け日記 番外編008★★

★★うつ抜け日記 番外編008★★


生まれた後、約一年間は平和に暮らしたらしい。


亡くなった祖母の話だ。


私が2歳くらいの時、母は蒸発したらしい。


4歳くらいの時、東京のテレビ番組に出演している。母を探す番組だ。


新幹線がない時代、快速で長い時間をかけて上京した。実はこれの記憶はある。


後日、晴れて(?)母が見つかり、感動の(?)再会を果たす、というシナリオの撮影を経験する。


幼心に、「何をしているのだろう」と考えていたのを覚えている。


全く、悲しくないし、嬉しくもなかったから。


感情が麻痺していたのかもしれない。


母がいると、私は小間使いになる。人間として扱われている気がしなかった。


母のヘビースモーカーぶりと飲酒、夜の仕事の準備の時間など、不愉快なものだった。


母は、私が2歳くらいで離婚し、蒸発し家を出て行った。しかし、4歳くらいで帰ってきてしまったから、平和な祖母と弟との3人暮らしは終わってしまったのだ。


苦痛でしかなかった母との時間。


中学の時、祖母が亡くなった時は酷かった。祖母の死で気が動転した母は、包丁を片手に夜の暗闇の中を走り回った。幸い人がいなくて助かった。何とか家に戻した。


私には、恐怖体験になった。怖かったから。


母の持つ包丁は、自分に刺さるかもしれないから。


私は早く家を出たかった。


技術系の高校に入り、就職する。


早く結婚して家を出ようと考えていた。


二十歳で結婚し家を出た。


有難いこと。


ただ、今もモヤモヤした気持ちが残っている。